痛い目に合うという教訓

社会人になりたてのころ、まだ経済的にぎりぎりの生活をしていたこともあり、短時間で高時給のアルバイトの副業をしていました。もちろんお昼の会社では副業が禁止されていたため会社にも会社の仲間にも秘密を貫き通すつもりで始めました。

お昼間は事務所での事務作業メインでたまに外回りに出るような仕事、半分内勤半分営業のような仕事をしていたので、他の会社の人との接触も少なからずありました。また、人と接することが好きだったため外部の方と仲良く話をするくらいの関係が築けていました。そのような仕事をしながら、夜は飲み屋街で副業の毎日でした。キャバクラで働いていたこともあり、昼の顔と夜の顔がまったく違い、服装も化粧もウィッグを付けていたため髪型も全くの別人を演じていました。

副業を始めた時は、お昼の仕事のお客さんが来ないか不安で仕方がなかったことを今でも覚えていますが、半年もたつと慣れたもので不安もなく堂々とテーブルに着くお客さんの顔を確認せずに接客していました。

あるとき、接客したお客さんが、昼の仕事でのかかわりのあったお客さんで、私はすぐ気づきましたが、相手は酔っていたためかあまり気づく様子がありませんでした。その場では何も問題なくこなした後、お昼の仕事で会う機会があった時に、まじまじと私の顔を見て不思議そうにしていました。その日の夜に、そのお客さんは再度私の働くキャバクラに現れたのです。しかも私を指名して。店長に指名されたことを聞き、お客さんの顔を見たときはどうしようかと思いました。その時に私は普段通り接客したのですが、お客さんからの尋問で最後は昼の私と夜の私とを結びつけざる得ない状況になってしまったのです。

その方はとても良い方で特に会社にばらすなどといった嫌がらせはしませんでしたが、なぜかいつも付きまとわられていました。お昼の仕事中も、会うとニヤリとしてみたり、○○ちゃんは一日中忙しいからね、とあえて言われてみたり、セクハラやパワハラなどと言われてもおかしくないくらいの嫌がらせを受けました。しかし私も会社にばらされたくない一心で必死に我慢しつつも、夜は夜で毎週のように飲みに来てくださり、それなりにいいお客さんという位置づけでした。

しかし、不運なことに、その方の担当する仕事に私も加わることになってしまったのです。昼も夜もかなりに時間一緒にいることが多くなり、周りからなんだか仲が良すぎる、とうわさされ始め、そろそろ自分の中で限界かなと感じていたとき、そのお客さんの海外転勤が決まりました。もともとは妻子持ちで単身赴任してきていたこともあり少し心が寂しかったそうです。なので、私の秘密を知って、応援したい気持ちと、自分だけが知っている秘密ごとがあったのが少しうれしかったのだと、最後の最後できちんと話をしてくださいました。そして、必ずまた戻ってくるので、お昼の仕事も夜の仕事も辞めずに頑張っていてほしいとまで言われました。私自身その時にはすでに転職を考えていたことと、夜の仕事もほかの店舗から引き抜きの声をもらっていたこともあり、そのお客さんの言葉には素直にはいと伝えましたが、ここで縁が切れるなと少し安心しました。

仕事をする中で、だれかに内緒で何かをしようとするとろくなことはないなと感じました。私の場合、会社や会社の人間には内緒で、人の目を盗んで仕事をしていたことで、弱みを握られその人のペースでいろいろと巻き込まれてしまいました。実際には会社にばらされることもなく大事には至りませんでしたが、もし人が悪ければそのような事態に陥ってしまっていたかもしれません。いまではその会社も辞め、夜の仕事も引退をしました。これからは素直に正直に秘密ごとはできるだけしないよう生きていこうと思えた出来事でした。